木村拓哉が私の人生に与えてきた影響力は計り知れないものがあった
何度も言うよ。
迷わず言うよ。
私は、SMAPのファンではない。
(チャゲアスのSAY YES風に言ってみた。
そーいや、ASKAさんは彗星のごとく「はてなブロガー」として登場。
あっという間に幾多ものトップブロガーを抑えて、堂々のトップブロガーへと君臨中。
今や、最も注目されるはてなブロガー(歌手だけど)の1人である。)
それでも、私の人生に何度か木村拓哉は現れた。
どのように現れたかというと、決して実在する木村拓哉が現れた訳ではない。「木村拓哉みたいなもの」や「木村拓哉のグッズ」等が異様に増えたのだ。
まず、それには母の存在が大きい。実は、うちの母はアンチキムタク派の筈だった。
木村拓哉がテレビに出るたびに、「へっ、また偉そうに」「どの演技も同じでつまらんわ」「世の中の女は、みんな自分の事好きだと思ってるのよ。」と文句を言ってチャンネルを回す。
そんな訳で、木村拓哉主演のドラマは基本的にビデオを撮って後日閲覧だ。
しかし、しかしだ。
母は、あれだけ木村拓哉の文句を言う割には、「オロナミンCをケースで2セット購入すると、キムタクのポスターが貰えるんだって!」と言って欲しくもないオロナミンCを大量に買い占め、何枚ものポスターを貰ってきたのだ。
あれ?母さん。
キムタク嫌いじゃなかったっけ?
改めて、キムタクの凄い所を実感する。それは、どんなアンチの女さえも虜にする魔力を持っているという事だ。
「嫌い嫌いも好きのうち」という言葉がある。誰かに文句や悪口を言われている間は、実は興味を持たれているという事だ。
木村拓哉という強烈なカリスマ性と、圧倒的なスーパースターという存在。
もちろん、スーパースターにはファンだけでなくアンチも付き物だ。
本当のスーパースターはアンチ票の心すらゲッチューしていくのだ。
グダグダ文句いう叔母さんさえも、「もう嫌いなんて言わせないぜ」と無理矢理唇を奪うように心をゲッチューしてゆく。
さほど欲しくもないオロナミンCを大量にアンチの叔母さんに買わせた木村拓哉のCM力は偉大だ。
私はこの時「本当に、木村拓哉というスーパースターは凄い男だ」と思った。
お陰様で、このポスターの為に私は連日オロナミンCを飲まないと行けなくなった。
オロナミンCの事は、正直そんなに好きじゃなかったが今ではオロナミンCが欠かせない存在になった。(今でも、毎日飲んでるよ。)
私の高校時代。そんな訳で、さほど好きでもなかったけど木村拓哉のポスターが飾られるようになる。
正直、そんなに木村拓哉好きじゃないけどポスター飾る事は満更でも無かった。
毎日、私の勉強机に向かって大してニコニコと笑う訳でもなく、少し仏頂面。目線は少し晒し気味。今にも「ちょ、待てよ」と言いそうな雰囲気だ。
勿論ファッションは、お得意のジーパンだ。シャツは、確か赤のチェックのシャツじゃなかったかな。
流石ベストジーニスト殿堂入りナイスガイは、オロナミンCのポスターでも上手くジーパンを履きこなしていた。
なんと、あの。あの、木村拓哉がオロナミンCを持って私の部屋に佇んでいるのだ。
どんなに特別好きじゃなくても、国民的アイドルのスーパーイケメンが同じ部屋にいるって事は凄い事だ。ダメだ。勉強に気が入らない。いや、キムタクいてもいなくても勉強に気は入らないんだけど。
テストの点が悪かったら「木村拓哉のせい」に出来るだろうか。いや、ダメだ。どうせいつもテストの点は悪いのだ。拓哉のせいになんて出来る訳がない。
というか、そんなズルなんてしたら木村拓哉に失礼だ。木村拓哉の為にも、私は勉強を頑張らないと。むしろ、キムタクポスターのせいでテストの点が悪かったら、キムタクポスターを剥がされる可能性も高まってくる。
折角国民的アイドルが、私の部屋にやってきたのだ。できれば、もっと大切に歓迎してあげたい。
確か、SMAPの歌で「エブリシング君となら上手くやっていけそうな気がするよー」って「たいせつ」って歌があったじゃん。うんうん。このポスターと上手く付き合っていかなきゃね。
そうだ。ズルをしたらいけない。私の部屋の木村拓哉は、ちゃんと見張っているのだ。
「ちょ。お前。なに寝てんだよ。寝てんじゃねーよ。てか、俺のせいにしてんじゃねーし。
ぶっちゃけ、テストの点悪りぃーのは、オメーが勉強してねーからじゃね?
っちゅーかさ。オメーの頑張りは、つまり。アレだよ。結果なんだよ。わかる?
でもさぁ。テストだけが全てじゃねーし。オメーは、オメーだし。
俺はさ、オメーがどんな結果でも、ぜってー変わんねーし。
だってほら、オメーがどんな点取ったトコで、オメーはオメーじゃん?オメーは、そのままのオメーで良いんだよ・・。
(と言って、あすなろ抱きするキムタク)」
ああどうしよう。このままでは、キムタクに説教されるドMな妄想で寝れない。
そうだ、集中して勉強してキムタクの事を忘れるんだ。しかし、何故母は事もあろうに勉強部屋にキムタクのポスターを飾るのか。集中出来る訳ねーべ。(だんだん、中居君みたいな口癖になってきた。)
我が家の木村拓哉の影響力は、それだけじゃない。
母は、「うちの近くのガソリンスタンドに、キムタクそっくりの人が働いてるの。ほんと、凄い似てるんだって!」と言って、ほぼ一定の時期はそのガソリンスタンドに通っていた。
確かに、木村拓哉そっくりのルックスのイケメン従業員だ。しかし、髪型もそのまんまビューティフルライフの木村拓哉。
なんかもうこれ、ガンガンに意識してません?私、ドキドキの前に笑えてきたんですけど。
「あー、もうすぐキムタクさんにガソリン入れてもらえるよ。あー、どうしょう。本当、そっくりなんだから!」
キムタククリソツの兄さんにガソリンを入れてもらえるだけでも、無邪気に喜ぶアンチキムタク派の母。
木村拓哉って罪だよな。
例えそこにいなくても「木村拓哉」という存在だけで、ここまで女性を喜ばせてしまうのだから。
これまで「木村拓哉に似ている」という男性に何人も会った事がある。
意外と、どれも微妙な事が多かったけど、木村拓哉に似ているという事だけで美味しい思いをした人は沢山いるんじゃないかな。
母さんは、未だに木村拓哉の事は嫌いだ。それでも、私は忘れない。
あの日あの時、木村拓哉クリソツのガソリン屋の兄さんに夢中になり、そしてオロナミンCを木村拓哉ポスター欲しさに大量に購入したあの日の事を・・。
あの瞬間は、きっと夢じゃなかった事を。