露出系の痴漢野郎を目力のみで撃退したときの話
最近、性犯罪のニュースが増えている気がする。立ち読みしたフライデーによると、ナンパ師軍団には心理テクニックを駆使したマニュアルがあったそうな。
チーム戦だと、1人ではできないことができてしまう恐ろしさがあるような気がしてならない。
私も短大の頃、バイト先の先輩と友達と一緒に歩いてたらナンパ師に声をかけられたことがあった。
その時、バイト先の先輩が上手く断ってくれた。しかし、当時世間知らずだった私には何が何だかさっぱりわからぬまま…。もし先輩がいなければ、あのまま何も疑うことなく話を聞いてしまっていたのかもしれない。まぁ、誰もいなければ夜遅くにフラフラ街も歩かないけども。
さっきの男について、あとで先輩から
「あの男、1人じゃないよ。数m先に、ボックスカーがあったでしょう。あれ、多分仲間。
おそらく、グループでナンパしてると思う。あんな車乗ったら最後だから、絶対に乗らないこと」と忠告された。
先輩は若く見えるものの、当時27歳。東京の某大学卒で、都会の良いこと悪いこと色々見てきた、といつも教えてくれた。
地味な同級生が、ある日突然派手になったかと思えばA○女優になっていたっけ、なんてこともあったと聞かされたことがある。都会への憧れを抱きつつも、先輩から聞かされる都会の話は全てエキセントリックで理解不能なものだった。
先輩が大学の頃は、あのようなナンパ師はしょっちゅういたらしい。
こんな静かで暮らしやすい三重県に、怖い話などあるわけないだろうと思っていた。でも、こんな地方にもナンパ師がいるなんて…。
一体、どの地方に行けば安心して暮らせるのだろうか。先輩から話を聞かされ、思わず背中がゾクゾクした。
さらに地元で私が遭遇したのは、ワンボックスカーのナンパ師だけではない。なんと、露出系の痴漢にも遭遇したのである。
当時、私が通っていた地方の短大では「出してくる人」と呼ばれる男が話題になっていた。出してくる=男のソレを出している痴漢、ということらしい。
しかし話題にするのは綺麗、可愛い子ばかりで私のような地味で冴えない女には縁がないと思っていた。そんな私が、ある日なんと「出してくる人」に遭遇したのである。
彼は、駅前でフラフラと自転車を漕いでいた。漕いでいた、というより自転車を持ってフラフラとゆったり動いていた。
頭はボーボーの癖毛で、遠くから見ても「あいつ、絶対頭洗ってない」とわかった。
そして、数十メートル先から明らかに「あいつやばい」って空気を醸し出していた。クスリ系か、それとも…と疑っていると、彼の下半身に何やらゴムのようなものがブラブラ揺れているのを確認した。
まさか、例の露出系痴漢だろうか?しかし、こんな白昼の人通りの多い駅前でなぜ。なお、彼は露出しているのみならず、片手で弄りながら歩いていた。
正直、怖い…。どうしよう。突然の出来事に、頭は真っ白になった。
周囲には人も多く歩いていたにもかかわらず、誰も彼に無関心だった。もはや、放置プレイもいいところだ。
やがて、私は「出してくる人」と目があった。こんな奴に、私はひるんではいけない。
当時、私は20歳。処女vs露出狂。
処女vs露出痴漢野郎の仁義なき戦い。
処女代表として、絶対負けられない戦いがそこにある。
yourshock!
予期せぬ男が近づいてくる
yourshock!
フラフラと自転車でやってくる
見たこともない男に動揺しても無駄だよ
邪魔する奴は目力ひとつで ダウンさ〜
…って、北斗の拳テーマソングを替え歌にしている暇もなかった。とにかく心に余裕がなくて、怖くて。どうすればいいかわからない。ダレカタスケテ、なんてセリフすら出てこなくて頭が真っ白になった。
痴漢や性被害に遭う女性は、もしかするとみんなこんな感じなのかもしれない。
とりあえず、私は奴のゆらゆら揺れてるソレをガン見してやることにした。今までロクに彼氏もできたことのない私からすれば、奴のソレは家族以外で初めて見るソレだった。まさに、記念すべき初チンをこんなところで拝むなんて。
当時「目力すごい」と言われていた私。
なお、その頃目力を売りにしていた女優の柴咲コウさんよりも、正直目力に関して自信があった。綺麗かどうかはさておいて。
私は、思い切りヤツのブツをガン見した。すると、彼はふと恐れおののいた顔をするようになった。
そして、なんとズボンのチャックにアレを収めたのである。彼は怯えたような顔で私を見て、逃げるように自転車を漕いで何処かへと消え去った。
私は、痴漢を目力だけで撃退することに成功した。そう、私は痴漢に勝ったのだ。
本当に強い男とは、女性の困った顔を楽しむようなことはしない。強い人こそ、弱いものを守る強さを持っているはずだ。
人を困らせて楽しむ愉快犯には、目には目を。歯には歯を。私は、このような人が減り本当の強さを持つ男性が少しでも増えてくれることを願っている。
おわり