食わず嫌いの鬼滅の刃を見たら面白かった件

今、世の中は空前の炭次郎(鬼滅の刃の主人公)ブームである。

 

メディアでコラムを書いている人間からすると、流石にここまでブームともなると100日目に死ぬワニ案件のように電○が絡んでるのかとか、ついつい変な目で見てしまう。

 

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さらに、私がこの作品に対抗があったのは、「世の中に今必要なのは、優しさであるとこの作品は伝えているのです」「強者が弱者を守るという、素晴らしいテーマ」と、視聴者やメディア、SNSでこぞって紹介されるという気持ち悪さだった。

 

そもそも、強い者が弱い者を守るというのも、優しさが大事なのも当たり前の話であるからだ。

 

それが世の中でなされていないのであれば、弱い者とされている人たちが必ずしも「善人」ばかりではないからなのではないだろうか?

 

そもそも、これまで色んな人に会ってきたが、公の場で弱いですアピールをしている人ほど、家族や友人、お金に恵まれている人ばかりだった。(ただし、こっそり相談に来る、占いに相談に来られる方は、割とガチで悩んでるケース多いです。あくまで、ブログやSNSに書くとか、みんなのいる前で相談する人の話ね)

 

むしろ「そんなことないよ。○○さんは恵まれているよ」と誰かに言って欲しいだけという人が大半だったので、弱い人アピールする方を、私はほぼ信用していない。

 

本当に困っている人ほど、表に声を出せぬまま息を潜めてしまう。

 

普段から人に親切にしていれば、感謝もされるし、あなたも大切にされるはずだ。

 

それを仇にされているならば、有難迷惑なお節介、自分以上に弱い人にマウント、人様の悪口を吹聴するなどなど。もしかしたら、あなたにも原因があるのかもしれない。

 

親族以外の(親や家族は選べないので)人間関係は、類は友を呼ぶというだけあって、あなたの内面を表していると思っている。嫌な目に遭った時は、私も過去に何かしていないか振り返る。すると、どこかで引っかかる出来事がある。

 

自分では大したことないと思っていても、その人からすれば凄く嫌なこともある。そういうのを、もしかしたら自然とやってるのかもしれないと考えた方がいい。

 

そう思っていた私は、このアニメを見たら「どんな悪人でも弱者であれば優しくするのが定めである」と洗脳されそうで怖かったのだ。

 

しかし、漫画マニアの夫が面白いと言っていたので、もしかしたら私もハマるかもしれないと思い、試しにアニメを見てみようと思った。内容は、メディアやSNSで紹介されていたものとは全く違った。

 

確かに主人公は、妹を助ける為に戦う、敵に家族がいたら手を出さないなど、所々で優しさを見せている。

 

ただ、決して何もかも優しい訳ではない。婚約者を失った男性に「それでも生きなければならないのです」と一言言ってスタスタ進むシーンに、正直私もびっくりしたものだ。私としては、逆にこの主人公に好感が持てた。

 

炭次郎は、誰にでも情けをかけている訳ではない。敵討ちしようとした敵に家族がいると知った時も、家族がいるから手をかけるのは可哀想だと思って手を引いたというよりかは、「こいつは鬼なのに、人間のふりして何食わぬ顔で暮らしているのか……」と、より怒りをあらわにしていた。

 

家族を殺され恨みたいほど憎む存在との対峙、自分と同じような苦しみを抱える者へ伝える苦しみ。それでも、前に進んでいかなければならないという宿命……。

 

問題にぶちあたる度、炭次郎は必要な言葉をその人にかける。そして、その後も自分にとって必要なもの(妹や家族)だけを思い、前に進んでいく。

 

登場人物も「私は守らなくていい。鬼なので」と淡々としている。彼らは皆、自分たちの立場を踏まえて冷静に動き、なおかつ的確に言葉を述べている。優しさがテーマだと聞いた上で見たので、いい意味で拍子抜けしてしまった。むしろ、登場人物達の潔さが私はいいなと思った。

 

逆を言えば、メディアや視聴者が自分たちの都合のいいように解釈して紹介してしまうのが恐怖だと感じる。この作品は、人によって感じ方が違うと思うのだ。奥が深いからこそ、子供も大人もハマる。

 

素晴らしい作品だからこそ、どうかメディアや都合のいい大人たちのオモチャにならぬようにと祈るばかりだ。