「母親らしくしなきゃ」を卒業したら、娘に優しくなれた

私は今、43才。41才の時に不妊治療で娘を出産し、可愛い盛りの娘は2才になった。

 

やっとの思いで出産した娘のためにも、私は母親らしくなることを決意。そもそも出産した当時で、すでに私は41才。

 

オシャレすれば、若作りと思われる、または母親らしくないと揶揄されるかもしれない。

 

自分が揶揄されたら、娘にも迷惑がかかってしまう。これからの人生は、娘のために精一杯尽くしていきたい。

 

出産後は、赤ちゃんがミルクの吹きこぼし、離乳食を掴んだ手でベタベタ触ってもいいように、コスパが良く、なおかつ洗濯やすい素材の服、または撥水加工されたものばかりを選ぶようになった。オシャレや、自分の着たい服は、もちろん二の次だ。

 

ふとたまに、デパートに足を運ぶと可愛いフリルのついたブラウス、ワンピースを着る女性、またはベビーカーにHERMESバーキン、ピコタンをかけているキラキラした若いママ達を見かけることもあった。

 

ママによっては、エルメスではなくCHANELのチェーンウォレットを肩がけしているキュートなママも。ハイブランドのバッグを身につけ、オシャレで綺麗な姿のママを街で見ては、スウェット姿の自分を振り返り、「私はこれでいいのか……」と、落ち込むこともしばしば。

 

でも20〜30代のママと、40代のママではまた違うだろうと、勝手な偏見を抱いていたのも事実。街でオシャレな若いママを見るたびに、「自分は40代、自分は40代、同じじゃないから比較するな」と呪文のように唱え続けた。

 

あの頃の私は、オシャレできなかったのは自分のせいなのに、なんとか理由をつけて自分自身を納得させようとしていた。

 

そもそも、私はフリーランスでライターの仕事もしていたので、育児、家事、仕事をすべて両立させなければならなかった。

 

美容院に行く暇もなかったが、前髪だけは鬱陶しいので娘をベビーカーで連れて前髪だけ1000円で毎回切ってもらう。もちろん、カット、毛染め、パーマなどはしない。

 

鏡で見ると、まるでちびまる子ちゃんに登場する野口さんのようだったが、気にしない。そう、だって私は母親なのだから。動きやすければ、髪をカットする時間も短く済むなら、それでいいのだ。

 

子育て中は、もちろんエステに行く暇どころか、スキンケアする時間もなかった。

 

スキンケアは、家にある化粧品(サンプル、モニター、懸賞で当たったものが多い)で適当に済ませる日々。外出する日以外は、基本的にノーメイク。

 

自分のことは後回しをして、子どものために尽くすのが母親として最も美しい姿のはずだ。

 

と、私はそう信じて疑わなかった。

 

しかし、だ。ある日、ふと洗面台の鏡を見た時の自分の姿を見て愕然とする。

 

出産前は、ほぼなかったはずのシミが目尻にブワーッと増え、肌はカサカサ。ボサボサの頭に、目の下クマだらけでダルダルのスウェットを着た女が、そこにぼうっと立っていたのである。

 

思い起こせば、最近は思うように成長が進まない娘にイライラして、つい「なんで、なんでできないの!」と、最も言ってはいけない言葉を発してしまい、後悔してしまったことも。

 

不幸中な幸いというべきか、娘は何を言われているか理解しておらず……または、理解した上で「あえて」の行動だったのかもしれないが、ずっとケラケラと笑っていた。

 

ああ、なんで可哀想なことをしてしまったのだろうか。

 

そんな時、ふと幼少期の自分を思い出してしまう。母はいつもヒステリックで、イライラしていたっけ。そんな母の顔色を伺いつつ、怯えるように過ごした日々を思い出す。

 

もう、あんな想いを娘にはさせたくない。そう誓って、なるべく穏やかに努めようとあんなに頑張ってきたのに。なぜ、どうして。

 

気がつけば、私はそこに蹲り、動けなくなった。

 

どうすれば、娘の前でもいつも笑顔で、穏やかに過ごせるのだろうか。そんなことをぼんやり考えながら、日々を忙しく過ごしていた。

 

そんな私に転機が訪れたのは、たまたま応募して当たった「フェイラー 」のファンイベントだった。

 

フェイラーは、ハンカチで有名なドイツのブランド。フェイラー で名古屋初のイベント(当選者は無料)が開催されると知るなり、私はすぐに応募。すると、運良く当選したのだ。

 

夫に伝えると、娘を1日見るから楽しんでおいでとのこと。私は意気揚々として、そのイベントに参加した。

 

イベントには、鮮やかなカラーの服を身に纏うマダム達、袖が大きなフリルのかわいいブラウスを着た女性など、自分らしいオシャレを楽しむ女性達で犇めきあっていた。

 

女性達の笑顔はみんなとても輝いていて、人生をイキイキとしているのがすぐに見て感じとれた。

 

そこでようやく、私は自分の本当の気持ちに気づいたのである。

 

私はきっと、いくつになっても可愛いものを身につけていたいし、心躍る服を身に纏ってときめいていたいのだ。

 

もちろん、子どもが小さいうちは汚れたら困る服を日常的に着ることは至難の業。だからこそ、私はまず「小物」からウキウキできるアイテム収集をスタートしていった。

 

※見ているだけでキュンキュンする、かわいいフェイラーのアイテム

 

小物を集めたら、今度は「ちょっとおめかししたい日に、日常を忘れられる」ような洋服も欲しくなってきた。

 

そこで私は、以前から憧れていた小嶋陽菜さんがプロデュースするブランドherliptoの服を購入することに。

 

先日たまたま東京観光に家族で出かけたので、表参道にあるherliptoを取り扱うお店「houseofhelme」へ足を運ぶ。

 

店内はまるで西洋のお城のようで、可愛いアイテムがズラッと並び、気分はすっかりお姫様。

 

 

そんな中、夫が心配そうな顔でスタッフに「あのう……ここのファッションブランドって、対象年齢っていくつくらいですかね……?40代でも大丈夫ですかね……?」と、ボソッと耳打ちする。

 

スタッフの方は「いくつでも大丈夫ですよ〜!若い方から、年配の方までherliptoのファンの方が多数いらっしゃいます」と、ニッコリ微笑む。

 

スタッフと夫のやり取りを聞くなり、「40代でも大丈夫か、よし!」と決意した私は、ブラウスとワンピースを試着。

 

夫は正直不安そうだったが(あまりにフリルいっぱいのブラウスを選ぶので)、試着した姿を見て「悪くないね!なんか、新しい感じ。いつもと違うし、いいんじゃない?」と嬉しそうな笑顔。

 

夫の表情を確認した上で、私は「これなら大丈夫」と確信して、ワンピースとフリルのついたブラウスを購入した。

 

ワンピースは今まで選んだことのないような、お姫様風のデザインをチョイス。まるで自分が貴族になったような気持ちになり、気分が高揚した。

ブラウスも、これまで一度も挑戦したことのないような「袖に大きめのフリル」でできたブラウスを選んでみる。

 

「袖に大きめのフリルがついたブラウス」は、ファッション雑誌veryや街行く若いママさんを見て密かに憧れていた。

 

若作りと思われないよう、ホワイトではなく落ち着いたベージュカラーをチョイスして、全体的に柔らかい印象に。

 

もちろん、どのデザインも決して母親らしいと言われたらそうではないだろう。でも、かわいい服、胸がときめくようなデザインの服に袖を通すと、不思議と笑みが浮かび、これからも育児、仕事を頑張ろうと思えるのだ。

 

思い起こせば、私は出産を機に「母親らしくしなきゃ」と意気込みすぎていたのかもしれない。もっと肩の力を抜いて、育児や仕事をしつつも、自分のことも大切にしていきたい。

 

自分が心躍るアイテムの効果は、それだけではない。可愛いアイテムを手に取る、身につけると、不思議と娘に対して笑顔になれたのである。

 

もしかしたら、可愛いアイテムを身につけることで、自分自身も幸福な気持ちになり、心にも余裕が生まれるのかも。娘も、私の嬉しそうな顔を見て、とても嬉しそう。より一層、私にべったりくっつくようになったのは、嬉しい変化かもしれない。

 

これからは母親らしさにとらわれず、「自分らしく」を大切にして生きていきたい。私がご機嫌になることで、娘の笑顔が増えるならそれも本望だ。